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正答の無い支援を考え続ける

正答の無い支援を考え続ける

 知的障害のある60歳代の男性が、支援者の同伴で、自分のお金で自分の服を買いにショッピングセンターを訪れました。
 この男性は、好きなアニメーションのキャラクターが大きくプリントされた服ばかり買いたがるそうです。そこで支援者は、年齢相応と思われるデザインの服を数点抜き出し、その中から男性に1点を選んでもらいました。

 これは虐待に当たるのでしょうか?


 虐待防止と権利擁護のための、行政による管理者向けの研修。その中で行なわれた、事例検討のワークです。
 買い物での事例について、数人ずつのグループで話し合いました。

 グループごとの意見発表では、「虐待に当たる」との判断が半数以上でした。

 男性が自分のお金で自分の服を購入するのだから、どんな服を買っても構わないはず。当人の好きな服を買わせない行為や、支援者が選んだ服を買わせる行為は、虐待(経済的虐待など)に当たる。…判断の理由は、このようなものでした。

 発表する機会はありませんでしたが、私の見解は異なっていました。

 この男性のクローゼットの中身が、アニメーションのキャラクター物ばかりだったら? 冠婚葬祭などに招かれた際、男性が周りの人々から冷笑・非難されることを、支援者側は「男性の自己責任」と言い切れるのか?

 私の判断は「虐待ではないが、支援の方法が不適切」。
 年齢にふさわしい服の必要性を説明し、あらかじめ理解しておいてもらう。その上で、好きな服を買う場合と、年齢にふさわしい服を買う場合があることを約束し、買いに行く際は事前告知する。あるいは、好きな服を買う際、年齢にふさわしい服も一緒に買うことにする。…このような改善策を考えてみました。

 講師によると「考えを深めてもらうことが目的ですから、正答はありません」「虐待防止の研修で行なうと、しばしば厳しい判断に傾くようです」とのこと。

 私の考えも間違っているのかも知れません。もっと他に、適切な方法があるのかも知れません。
 より良い支援を目指して考え続けること…これが最も正答に近いような気がします。

photo credit: Clothes via photopin (license)