小説

天竺堂の本棚

足元を支えている 過去の堆積 『ゴールデンスランバー』

大学時代、友達と馬鹿なことばかりやってた。楽しい思い出だけど、もはや思い出しか残ってないし、それも次第にボンヤリしてきてる。  苗字を憶えてる奴は名前が分からず、名前が思い出せる奴は苗字を忘れた。 あ... 【続きを読む】
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大胆不敵な“死人” 痛快爽快な活躍 『死ぬことと見つけたり』(上・下)

武士の修身書『葉隠』を基にした、隆慶一郎の時代小説。 江戸時代初期の佐賀鍋島藩が舞台。  「死んだ気になれば何でもできる」なんて言うけど、それを本気で実践してる武士が主人公。 斬り殺されたり、溺れ死ん... 【続きを読む】
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惨劇の“その後” サスペンスフルに描く 『ドクター・スリープ』(上・下)

文字を読んでトイレに行けなくなるほど怖くなったのは、後にも先にも『シャイニング』だけ。偏執的なほどに密度の濃い文章でもって、恐怖をジワジワと高めてくれた。 本書はその続編。  前作の主人公だったダニー... 【続きを読む】
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昭和テイストな怪人が 虚実入り交じるミステリ 『死仮面』

折原一の奇妙なミステリ。  急死した夫の謎を探る、妻の物語。少年失踪事件に巻き込まれる、中学生の物語。…ふたつの物語が交互に語られる。  読んでいくうちに、急死した夫が書き残した小説が“中学生の物語”... 【続きを読む】
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宇宙規模のドンパチが 拡がる大風呂敷 『天冥の標9 ヒトであるヒトとないヒトと』(1・2)

小川一水の大河SFシリーズ第9部。  再び前進し始めた物語が、クライマックスへと盛り上がっていく。 明らかになった“真相”は、それなりに衝撃的ではあったけど、小さなスケールにまとまってしまいそうな予感... 【続きを読む】
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物語世界の“真実”や“外側”あらわに 『天冥の標8 ジャイアント・アーク』(1・2)

小川一水の大河SFシリーズ第8部。 第2部で何百年も時代をさかのぼり、そこから時系列に語られてきた物語が、第1部につながる。  2分冊の前半は、第1部の物語を別の視点から語り直したもの。 第1部で脇役... 【続きを読む】
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シェルターの子供たち 生き延びる闘い  『天冥の標7 新世界ハーブC』

小川一水の大河SFシリーズ第7部。珍しく前作の直後から始まる。  太陽系規模のカタストロフを受け、地下都市がパニックに陥った小惑星セレス。巨大シェルターに避難した子供たちの集団が直面する、過酷なサバイ... 【続きを読む】
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カタストロフ招く 賤民たちの怒り 『天冥の標6 宿怨』(1~3)

小川一水の大河SFシリーズ第6部。 全10部で構想される本シリーズは、半ばを過ぎて大きな転換点を迎える。  物語を引っ張るのは、致死性のウイルスを撒き散らすために賤民のように扱われてる患者集団「救世群... 【続きを読む】
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宇宙規模の背景 徐々に明らかに 『天冥の標5 羊と猿と百掬の銀河』

小川一水の大河SFシリーズ第5部。  小惑星にある農場で日々の仕事に追われる、男やもめの農夫が主人公。 低重力の閉鎖環境で営まれる農業の様子とか、従事してる農民たちの暮らしぶりなどが、詳細に描かれてい... 【続きを読む】
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