小説

天竺堂の本棚

美しくも厳しい…湿地で生きる少女 『ザリガニの鳴くところ』

ザリガニが鳴くのかどうか、私は知らない。 小学生のころ、理科室の水槽で飼ってたアメリカザリガニの世話係をやったことがあるけど、鳴き声は聞けなかった。  本書によると、ザリガニの鳴くところは「茂みの奥深... 【続きを読む】
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思索に沈ませる 傑作ぞろいの短編集 『あなたの人生の物語』

子供が親よりも先に死んでしまう“逆縁”は、重い親不孝とされる。 立派な偉人に育ってくれそうにはないし、むしろ世間に迷惑をかける愚物で終わるかも知れない。それでも、我が子の死に、親として向き合わなければ... 【続きを読む】
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遠野舞台に描き出す 怪異のメカニズム 『遠巷説百物語』

お化けや妖怪などの、不可思議なものたち。 現実に在るとは思えない。けれど、目撃や遭遇などの体験談が少なからず伝えられてるからには、まったくのデタラメ、絵空事というわけでもなさそう。  これはどういうこ... 【続きを読む】
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犯罪捜査の現場 緊迫感みなぎる短編集 『第三の時効』

やたらと仕事ができて、自分にも他人にも厳しい……そんな人材がいる職場は、成績は上がるだろうけど、一緒に働かなきゃならない身としてはなかなかにツラい。 そこが警察みたいな、仕事自体が“社会正義”を体現し... 【続きを読む】
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“納得”引き出す奇策 それが妖怪 『前巷説百物語』

罪なき人命が失われる事件が起きた時、しでかした者に対し、「殺してしまえ」「こんな奴は死刑だ」なんて声が上がったりする。  犯人の命を奪えば、遺族らの憎悪や悲哀は一時的に治まるかもしれない。 それでも、... 【続きを読む】
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道具も舞台も…何かとデカいSF短編集 『円』

SF大作『三体』著者による短編集。全13話。  表題作は、不死の秘密を求める始皇帝が、秦の大軍勢でもって“人間コンピューター”を創り出すという物語。 この他、シロナガスクジラを操って麻薬密輸に及ぶ話と... 【続きを読む】
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高尚で立派か? 引きこもりか? 『失われた岬』

深山幽谷の草庵で、悠然と思索にふけったり。洞窟や僧房の暗がりで、無我の境地を求めたり。有機無農薬栽培の作物を食べ、天然繊維の簡素な服を着て、スピリチュアルな仲間と晴耕雨読の共同生活をおくったり。 …こ... 【続きを読む】
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密林での戦い ケレン味要素も 『機龍警察 白骨街道』

シリーズ6作目。 ミャンマーの密林での過酷な強行軍と、兵器開発をめぐる汚職事件の捜査が、交互に展開していく。どちらもスリリングで読ませます。  今回は、機甲兵装に絡むところに、“十二神将”や“八部衆”... 【続きを読む】
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ミステリ1冊分 作中作で封入 『ヨルガオ殺人事件』(上・下)

ミステリーを読む時は虚心坦懐を心がけてる。と言えばキザだけど、つまりは謎解きをあきらめてる。 読みながら手がかりを探し出し、トリックやミスリードを見破り、犯人を突き止める…なんて作業は登場人物に任せて... 【続きを読む】
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