小説

天竺堂の本棚

ミステリ1冊分 作中作で封入 『ヨルガオ殺人事件』(上・下)

ミステリーを読む時は虚心坦懐を心がけてる。と言えばキザだけど、つまりは謎解きをあきらめてる。 読みながら手がかりを探し出し、トリックやミスリードを見破り、犯人を突き止める…なんて作業は登場人物に任せて... 【続きを読む】
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連作ミステリ バトルマンガの味わい 『推理大戦』

似鳥鶏の連作ミステリ。  世界的に貴重とされるキリスト教の聖遺物の所有権をめぐり、各国の宗教組織から“代表”を募って推理ゲームで競わせるという、奇妙な企画が発表される。 実際にエントリーしてきたのは、... 【続きを読む】
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“孤独”にじみ出る 米社会の点描 『ロンサム・カウボーイ』

片岡義男の連作短編集。初期の名作。  1970年代のアメリカにおける、さまざまな人生の形。 登場するのは、長距離トラックの運転手、荒野に建つカフェの女店主、酒場を渡り歩くハスラー、地方を巡業するロディ... 【続きを読む】
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裏社会の“保安官” ど派手に活躍 『続・用心棒』

ストリップクラブの用心棒をしながら、犯罪組織間のパワーバランスを維持する“保安官”を務める主人公。 性格は地味めなのに、ダイヤモンドを強奪したり、テロ組織を出し抜いたり、ニューヨークの真ん中でど派手に... 【続きを読む】
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やたらとデカい とにかくスゴい 『三体3 死神永生』(上・下)

中国産SF大作の完結編。  外宇宙から迫り来る危機また危機に、人類文明はありったけの科学技術と工業力でもって抵抗する。 その行く末を、冷凍睡眠を繰り返しながら見守り続ける主人公。  昭和時代の児童向け... 【続きを読む】
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手塚の構想メモ 膨らませた意欲作 『小説 火の鳥 大地編』(上・下)

手塚治虫のライフワーク『火の鳥』の「大地編」を、桜庭一樹が小説として書き継いだ意欲作。  日中戦争後の上海で、長寿をもたらす未知のホルモンを分泌する伝説的な鳥の捕獲を狙う日本軍が、タクラマカン砂漠への... 【続きを読む】
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濃厚キャラの存在感 物語に影響 『星系出雲の兵站 -遠征-』(1~5)

往年の時代劇大作『柳生一族の陰謀』に、烏丸少将という悪役が登場する。 演じてるのは成田三樹夫。徳川三代将軍をめぐる幕閣内の暗闘につけ込もうと策謀する、公家の役だった。 顔は白塗り、口調は「おじゃる」、... 【続きを読む】
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謎の“商人” 富次郎の前に 『魂手形』

宮部みゆきのライフワーク的な伝奇シリーズ、その第7巻。  百物語の聴き手である富次郎は、聴き終えた物語にちなんだ絵を描くことを自分に課してる。 モチーフの選択が毎回、ナナメ上あたりにズレてるように思え... 【続きを読む】
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人間たち受け容れる 人工親友の健気さ 『クララとお日さま』

カズオ・イシグロのSF小説。 ノーベル文学賞の受賞後第1作。  舞台は近未来らしい社会で、子供たちの成長に寄り添うAF(人工親友)のクララが主人公。人工知能を搭載した人間型ロボットみたいなもので、太陽... 【続きを読む】
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