小説

天竺堂の本棚

伝奇活劇で描く 原始儒家の姿 『陋巷に在り』(1~13)

酒見賢一の大長編、全13巻。 古代中国の春秋時代、儒教の始祖・孔子の弟子とされる顔回を主人公に据えた、伝奇テイストの物語。  魯国の下町にあるあばら家に暮らし、いつも市中をブラブラしてたという顔回は、... 【続きを読む】
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アジア的猥雑さ 中国の近未来SF 『荒潮』

中国人作家による近未来SF。  中国南東部にある、国内外から電子機器の廃棄物が集積する半島、通称「シリコン島」。貧民や出稼ぎ労働者らがゴミ処理作業に従事させられ、その利権をマフィアみたいな血族3家が奪... 【続きを読む】
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ヒロイン健全化? ダークスーツ姿に 『ミレニアム6 死すべき女』(上・下)

故スティーグ・ラーソンの3部作を引き継いだ、ダヴィド・ラーゲルクランツによる3部作の完結編。  スーパーヒロインのリスベット・サランデルと、妹にして宿敵でもあるカミラとの暗闘に、あるホームレスの死によ... 【続きを読む】
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戦後日本を彷徨 木地師追う主人公 『脊梁山脈』

乙川優三郎の長編小説。  終戦直後の日本が舞台。 主人公は上海からの復員兵で、たまたま窮地を救ってもらって別れた青年が、木地師らしいと知る。 木地師とは木工の職業集団。9世紀ごろの滋賀県・近江発祥とさ... 【続きを読む】
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怪異譚の現場 引き出される“強さ” 『黒武御神火御殿』

カウンセリングに「コーピング・クエスチョン」という技法がある。 過酷な状況に置かれてきた相手に、「どうやって耐えられたのですか?」「今まで頑張ることができた理由は?」などと問いかけ、自分に内在する“強... 【続きを読む】
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思考実験も驚異も 刺激的なSF短編集 『息吹』

Aという決断をし、後になって「Bを選んでたらどうだったろう」とか想像してみたり。 誰かと「言った」「言わない」の水掛け論になり、「当時の様子を動画で確認できたら」なんて悔やんだり。 可愛がってるペット... 【続きを読む】
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中華風の異世界 骨太なファンタジー 『十二国記』(既刊12冊)

小野不由美の大河ファンタジー。 既刊12冊を1カ月ほどかけて読みました。  古代中国っぽい異世界を舞台にした、長・中編の連作。 陸地は12の国家に分かれ、それぞれを王様が支配してるんだけど、いくつかの... 【続きを読む】
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時代超えて戦い続ける鮫島 『新宿鮫 暗約領域』

新宿警察署生活安全課の鮫島は、年齢が四十代のどこかで止まってしまった模様。  前作までに上司と恋人を失ったけど、女性上司が赴任してきたり、若手とコンビを組まされるなど、新たな変化もあって飽きさせない。... 【続きを読む】
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表紙とは大違い 猟奇的サスペンス 『連続殺人鬼 カエル男』

カエルの着ぐるみ姿の変人が、シュールな事件を起こしまくる脱力ミステリ…みたいな、ユーモラスな表紙を見て浮かんできたイメージとは大きく異なる、猟奇的なサイコサスペンス。  カエルをもてあそぶ幼児のように... 【続きを読む】
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