何が浮き彫りになったのか 『妄信 相模原障害者殺傷事件』

 2016年7月に起きた相模原障害者殺傷事件での、朝日新聞取材班による報道などがまとめられた本。
 この凶行が社会にどんな影響を及ぼしたのか、何が浮き彫りになったのか、いろんな方面に取材してあって興味深い。

 福祉施設の厳しい労働環境。障害者を“無益”と断じる優生思想の風潮。事件現場の施設の大規模な建替計画と、郊外の大型入所施設を「時代錯誤」とする反対論。被告に措置入院歴があったことから、再発防止策として厚労省が公表した、措置入院患者への退院後の継続支援策。それを「監視強化では?」と懸念する、精神障害の当事者たち。決して“不幸”ではない個々の重度障害者と、その家族たち。一方で、重度障害者の介護・支援の困難さと、家族の高齢化で自宅介護が限界を迎えつつある現状…などなど。

 個人的には、殺害された障害者たちの実名がほとんど報道されてないところや、実名公表を拒んでるのが被害者遺族というところに、障害者差別の根深さを感じる。

 事件によって顕在化したモノゴトについて、より良い社会へ向け、私たちに何ができるのか? そんな問いかけが詰まってる一冊です…

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