経済成長を前提にしない次元で 『里山資本主義』

 人口減少社会に向けての具体的な対応策を示してる、日本総研の研究員と、NHK広島取材班の共著。

 地元の資源を活かしてモノやエネルギーを地域内で循環させる仕組みを創出し、住民たちの協力関係を基盤とした充足社会を目指そうというのが「里山資本主義」。

 衰退してた林業に着目し、製材時の木クズを使った木質バイオマス発電によるエネルギーの地産地消に取り組む、岡山県内の事例とか。スローライフにあこがれて都市圏から移住してきた人材が地域興しに活躍している、瀬戸内海の離島や、島根県の耕作放棄地帯の事例とか。人材難の過疎地で、高齢者や障害者や児童らが相互に協力・刺激し合う仕組みを確立した、広島県内の事例とか。
 これら先進事例を紹介しながら、統計データや専門家らの知見を交え、大量生産・大量消費を進めてきた価値観とは異なる次元での、ゆとりある社会の在り方を提言してる。

 経済成長を前提にしなくてもシアワセを目指せることが分かり、将来に明るい展望をもたらしてくれる好著。

 とは言え、例えば林業とは無縁な地域や、中途半端な地方都市などで、本書の成功事例をそっくり真似たりしても、おそらくうまくはいかないはず。
 個々の地域の実情に合わせて、資源は何か、循環させられるのは何か、活用できるのは何か、それぞれに模索しなければならないでしょう♪