異様な迫力と重厚感 『北京から来た男』(上・下)

 ヘニング・マンケルの社会派ミステリ。

 スウェーデンの寒村で起きた大量虐殺事件が、中国の近・現代史につながっていくという、壮大なスケール。
 なんだけど、事件をめぐるサスペンスよりも、改革開放路線を猛進する中国の“得体の知れない不気味さ”に軸足が置かれ、かなりイビツな印象も。

 おそらく著者は、中国人のメンタリティへの理解に苦しみ、それでも自分なりの納得が欲しかったんじゃないかと思う。
 物語の前半に挿入されてる、中国の貧しい兄弟がアメリカに渡り、大陸横断鉄道を敷設する過酷な作業を強いられるエピソード。これは著者が、兄弟の苦しみを描くことを通し、中国人を理解しようとした“過程”に見える。

 結果的に理解は不充分だった気がするんだけど、そんな著者の真摯さが、全編に異様な迫力と重厚感をもたらしてる。
 ミステリとしての瑕疵が散見される一方で、それらを補って余りある読み応えがありました♪

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