“発展”の是非を問いかける 『言の葉の樹』

 ル=グウィンの長編SF。

 宇宙連合エクーメンがもたらす文明を受け入れた、惑星アカが舞台。
 アカの支配勢力は、産業や経済を飛躍的に発展させる半面、それまでの文化を全否定しようとしてた。徹底的な焚書。

 エクーメンから派遣された監察官、主人公のサティは、首都から離れた辺境地帯を訪れ、ひそかに息づいてる古来よりの伝統や習俗に遭遇する。
 文明開化と文化大革命がまとめて到来してるアジアの国へ、国連の調査員が潜入…そんなカンジ。

 アカの“発展”について、サティ(著者)は「個人ひとりひとりが、肉体的精神的に満たされることを求めた偉大な合意的社会機構を、個人個人が社会の物質的富と複雑化をめざす限りない成長のために奉仕する巨大な階級組織へと置き換えた」と表現し、さらに「おいしい食事をしたあとゆっくりすわって考える人間とバスに乗り遅れまいと懸命に走る人間との違い」と例える。是非を読み手に問いかける。

 SF的な要素は薄いんだけど、文化の多様性とか、単一のイデオロギーに染まった社会の怖さ、幸福の本質などなど、考えることを促す刺激に満ちた一冊です♪

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