娯楽への絶妙なさじ加減 『陋巷に在り』(1~13)

 酒見賢一の大長編、全13巻。
 古代中国の春秋時代、儒教の始祖・孔子の弟子とされる顔回を主人公に据えた、伝奇テイストの物語。

 魯国の下町にあるあばら家に暮らし、いつも市中をブラブラしてたという顔回は、なのに孔子が高く評価する一番弟子だった。
 そんな顔回の不可解な部分を、著者は巧みに補完。鬼神(死者や神霊)を扱うための巫祝の知識・技術を、社会に秩序をもたらす実践的な思想へと洗練させようとしてたのが孔子で、その活動を支えるべく、地元の巫祝一族から送り込まれた天才が顔回だったという設定に。

 魯国の政界で、新たな秩序を打ち立てようと奮闘する孔子。
 その陰で顔回は、孔子の政敵たちが招いた鬼神や刺客と暗闘を繰り広げる。

 呪術の力が“現実”とされてた古代世界を、現代的・合理的に捉え直しつつ、娯楽活劇として成立させてる、著者のさじ加減は絶妙。
 医師が外科手術をする場面とか、まだ呪術と医術が分化してない時代なので、ほとんど悪魔祓いみたいに描かれてたり。
 何とも刺激的で読ませます。

 立ってるキャラクターがたくさん登場するので、ファン投票をやりたかったという著者の気持ち、よく分かる♪

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