伊坂幸太郎の連作短編集。
主人公は凄腕の殺し屋、通称「兜」。普段は平凡なサラリーマンとして、妻子と暮らしてる。
何故か兜は恐妻家で、妻の機嫌を損ねないよう、家庭では常に細心の注意を払う。深夜に帰宅した時は、寝てる妻を起こさないため、魚肉ソーセージを静かにかじったり。
兜が涙ぐましくもコミカルな努力を重ねる、その理由は、読み進むうちに明らかになってくる。
そうして本書が、サラリーマンの裏稼業を描いたノワールではなく、妻子に恵まれてる殺し屋を描いた家族小説だったと気付く。家庭人であろうとする兜に「夫って、父親って、こうだよなぁ」と共感する。
幕切れはなかなかに切なくて、ホロリとさせられるぞ♪