天竺堂の本棚小説

アジア的猥雑さ 中国の近未来SF 『荒潮』

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『荒潮』

 中国人作家による近未来SF。

 中国南東部にある、国内外から電子機器の廃棄物が集積する半島、通称「シリコン島」。貧民や出稼ぎ労働者らがゴミ処理作業に従事させられ、その利権をマフィアみたいな血族3家が奪い合ってる。密集するジャンクとバラックの間を、埋め込みチップで遠隔操作される野良犬や、光る液晶フィルムを全身に貼り付けたストリート・ギャングがウロついてたり。

 奇怪で過酷な土地を舞台に、ボーイ・ミーツ・ガールとか、テクノロジーの暴走とか、王道の“イヤボーン”などが展開する。

 サイバーパンク的なんだけど、何ともアジアっぽい、魚醤や線香がにおってくるような猥雑さがみなぎってます。
 どこか『銃夢』を思わせるテイストもあって、改めて“アジアつながり”を実感したりw

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