天竺堂の本棚小説

会いたさも尻込みも 気持ちはホンモノ 『ソラリス』

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『ソラリス』

 少年時代、私は祖母と同居していました。内孫の長男である私の大成を、祖母は強く望んでいたようです。
 しかし、私はボンクラだったため、高校受験に失敗。祖母は私以上に落胆し、その年の夏、病気で他界したのでした。

 …というエピソードを、何年か後、私は伯母に語ったことがあります。
 「バアちゃんをガッカリさせたまま死なせてしまった。できることなら、会って謝りたいよ」と私が言うと、驚いたことに伯母は「そんなら、会う? バアちゃんに会えばいいじゃない」なんて真顔で返すではありませんか。顔の広い伯母は、知り合いに高名な霊能者がいて、頼めば死者を“口寄せ”してくれるそうです。
 「もちろん、会いたい、けど…」口ごもる私。祖母に会いたい思いはホンモノでしたが、会うことに尻込みする気持ちもホンモノなのでした。

 …本書を読んで、そんなことを思い出しました♪

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