ノンフィクション天竺堂の本棚

“泡沫候補”の実際 選挙制度へ一石 『黙殺 報じられない“無頼系独立候補”たちの戦い』

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 選挙において「泡沫候補」と揶揄される人びとに密着した、ユニークなルポルタージュ。

 著者は「無頼派独立候補」との呼称を用い、ジャーナリストとして一定の距離を保ちながらも、個々の人柄や主張などを丁寧に取材してる。

 政党や組織の後盾を持たず、“手弁当”同然で選挙に臨み、街頭演説やポスター貼りさえもままならない候補者たち。
 当選する見通しが低いとして、新聞やテレビなどの大手メディアがほとんど取り上げないため、有権者に認知されないまま選挙が終わることも多いそうな。

 確かに、非現実的な政策を訴えたり、奇矯な言動を繰り返すような無頼派独立候補は少なくない。“目立つために選挙を利用する人たち”とか“民主主義や有権者を愚弄する人たち”などと、しばしばキワモノ扱いされてしまう。

 しかし、本書で描き出されるのは“広く訴えたい政策や主張がある人たち”であり“政治に無関心な社会を変えたい人たち”の姿。
 常識的に受け入れ難い政策や言動でも、根底には真摯で切実な動機があるらしい。

 安くない供託金を支払い、厳正な手続きをクリアしてる候補者たちは、立場的には全員が対等のはず。
 ところが、報道が“主要”な候補に偏ってるせいで、有権者には一部の選択肢しか示されない。
 この状況を「社会にとって『もったいない』」と感じる著者は、インターネットで無頼派独立候補たちの討論番組を仕掛けるなど、実験的な活動も手掛けてる。

 立候補へのハードルが比較的高く、マスコミに“有力”と見られなければ報じてもらえない日本。
 「投票率が低い」「政治への関心が薄い」と嘆く前に、「多くの人が立候補できる環境」「多様な選択肢がある選挙」を目指して、選挙制度や報道の在り方を見直すべきかもですね♪

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