天竺堂の本棚小説

濃密な格闘群像劇 物語は最終決戦へ 『獅子の門 鬼神編』

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濃厚なまま最終決戦へ 『獅子の門 鬼神編』

 夢枕獏の格闘小説、30年かけての完結編。

 格闘技に情熱を燃やす青年5人と、それを見守る達人・羽柴彦六の物語…だったはずなんだだけど、闇の格闘家・久我重明の存在感が増大。青年たちや彦六までも喰ってしまうように。
 さらには、狂気の天才・鹿久間源に加え、投げ技ジャンキー・岩上京太、死に急ぐ古武術家・村上喜左衛門などなど。土壇場になって、魅力的なキャラが続々登場する。
 登場人物たちが勝手に動き出した結果として読めば、これはこれで面白いぞ。

 これから3巻くらいは充分に続けられそうなほどの“濃さ”を残しつつ、物語は彦六と重明の最終決戦へとなだれ込む。

 さまざまな相手や、さまざまな状況で展開する格闘シーンは、ありとあらゆる描写の見本市。こんなに書ける人って、他にはいないと思います♪

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