小説

天竺堂の本棚

やっぱカッコいい 探偵マーロウ 『高い窓』

射殺体を前にして冷静に立ち回る。 警官を相手に信頼関係を説く。 乱暴そうな酔っぱらいを茶化してのける。 コワモテなクラブオーナーの事務所で減らず口を叩く。 金持ちの依頼人に対して不遜な態度を崩さない。... 【続きを読む】
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D機関の諜報戦 史実に虚しさも 『ラスト・ワルツ』

第二次大戦前夜に世界各国で暗躍していた、日本軍のスパイ養成機関「D機関」を描くシリーズの中編集。これが最終巻かも。  超一流スパイであるD機関メンバーから見ると、他の登場人物たちは、騙したり利用したり... 【続きを読む】
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深まる“仮定体”の謎 大掛かりな間奏曲 『無限記憶』

SF大作『時間封鎖』の続編。 前作から30年後の異星が舞台。  包んだ惑星の時間を速めるバリアーとか、地球と異星を繋げる巨大アーチとか、そんなシロモノを生んだ存在“仮定体”の謎に迫る内容。 なのに、い... 【続きを読む】
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長編の間埋め 世界観が緻密に 『機龍警察 火宅』

『ワイルド7』と『パトレイバー』と『新宿鮫』と『ボトムズ』を混ぜ合わせ、今野敏あたりを振りかけたような近未来SF警察シリーズの短編集。全8話。  それぞれ独立した話だけど、これまでの長編群の隙間を埋め... 【続きを読む】
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娯楽満載のSF巨編 大団円のエンディング 『エンディミオンの覚醒』(上・下)

『ハイペリオン』『ハイペリオンの没落』『エンディミオン』と続いてきた、SF巨編の最終巻。  さまざまな娯楽小説の要素と、SFガジェットがテンコ盛り。 長崎の卓袱料理とか、高知の皿鉢料理みたいな、何でも... 【続きを読む】
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伝染病と謀略 骨太な異世界譚 『鹿の王』(上・下)

上橋菜穂子のファンタジー巨編。  中世の中央アジアっぽい異世界が舞台。 強大な帝国に敗れたレジスタンスの生き残りが、征服者による植民地化が進む土地で、奇怪な伝染病が絡んだ謀略に巻き込まれる。  読み応... 【続きを読む】
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東北の山奥に “怪獣”現れる時代劇 『荒神』

宮部みゆきの伝奇時代劇。  東北の山奥に巨大UMA(未確認生物)が出現し、村人や武士を襲うという。 オドロキの“怪獣モノ”です。  小藩同士の確執やら、藩内での暗闘やら、ドロドロとした人間模様も絡んで... 【続きを読む】
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ブラックな笑いが 限界集落舞台の短編集 『四人組がいた。』

高村薫のオムニバス短編集。  山奥にある限界集落が舞台。 主な登場人物は、地元地域の自治体合併で消えた村の元村長と元助役、野菜売りのオバさん、そして郵便局長。老境に差しかかってる4人組。  小さな郵便... 【続きを読む】
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非日常が混入 奇妙な味わいの短編集 『月の部屋で会いましょう』

奇妙な味わいのSF短編集。  出てくるのは、頭髪を分け入った先に現れるジャングルとか、猫を延々とキャッチボールする仕事とか、オムツの中に小鳥やネズミをヒリ出す赤ん坊とか、シュールなモノゴトばかり。 そ... 【続きを読む】
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