小説

天竺堂の本棚

空気感や心情 学生時代がよみがえる 『四畳半神話大系』

人生も半世紀を過ぎたというのに、過去にしでかしたアレコレの思い出に、しばしば悩まされる。 もう関係者は忘れていて、ウジウジこだわってるのは私だけなんだろうけど、どうにも頭から離れない。このまま長期記憶... 【続きを読む】
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英国版の令嬢戦隊? アベンジャーズ娘? 『メアリ・ジキルとマッド・サイエンティストの娘たち』

英ビクトリア朝のロンドンを舞台にした“スチームパンク”作品群のひとつ。  主人公はジキル博士の娘で、これにハイド氏の娘(つまり異母妹)と、モロー博士の娘、フランケンシュタイン博士の娘、ラパチーニ教授の... 【続きを読む】
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史強に嫁を見付けてほしい 『三体2 黒暗森林』(上・下)

話題のSF巨編、第2弾。  地球侵攻の壮大さとか、面壁者と破壁人の頭脳戦とか、未来社会の変わりようとか、宇宙社会学の興趣とか、読みどころがテンコ盛り。 ページをめくる手が止まりませんでした。  それは... 【続きを読む】
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家庭人を目指す 凄腕の殺し屋 『AX』

伊坂幸太郎の連作短編集。  主人公は凄腕の殺し屋、通称「兜」。普段は平凡なサラリーマンとして、妻子と暮らしてる。  何故か兜は恐妻家で、妻の機嫌を損ねないよう、家庭では常に細心の注意を払ってる。深夜に... 【続きを読む】
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高度資本主義社会で 踊り続ける人生 『ダンス・ダンス・ダンス』

降りかかる火の粉を払いながら歩いていくのが人生だと個人的には思ってる。 本書の表現では、踊り続けるのが人生らしい。ただひたすらに。  作中で何度も言及される「高度資本主義社会」においては、雑多な案件が... 【続きを読む】
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犯罪者たちの奇縁 新幹線で交錯 『マリアビートル』

東北行きの新幹線に、犯罪業界の連中が乗り合わせる。 有名なプロフェッショナルだったり、無名の元プロだったり、売出し中のルーキーだったり、未完の大器(?)だったり。みんな目的はバラバラだけど、無自覚な奇... 【続きを読む】
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“主役”はオマエ 熱く鼓舞する物語 『アルケミスト』

学校あたりでは「将来へ夢を持とう」「やりたいことを見付けよう」「ひたむきに頑張ろう」なんて子供に諭したりする。無益とは言わないけど、幸福や栄達を確約するものではない。 半世紀ほど生きてきた経験上、夢と... 【続きを読む】
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自由? 寂しそう? 感想に変化が 『羊をめぐる冒険』(上・下)

20年以上ぶりに再読。 以前はフツーに読み飛ばしてた箇所に、ふと目が留まったり、共感したり、違和感を覚えたりして、そこが面白い。自分が年を取ったせいかも。  不可解な出来事にほんろうされる主人公は、そ... 【続きを読む】
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殺し屋たちの乱闘 奇妙な爽快感 『グラスホッパー』

伊坂幸太郎のピカレスク・ロマン。 個性的な殺し屋たちが、三つ巴、四つ巴になって命を取り合う話。  客観的には、殺伐として陰惨。 なんだけど、独特のドライな雰囲気や、重苦しくならないオフビートなノリ、事... 【続きを読む】
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