小説

天竺堂の本棚

些細だけど奇妙な 読ませる7編 『私たち異者は』

スティーブン・ミルハウザーの短編集。全7編。  個人的には最初の2編が良かった。 1話目「平手打ち」は、閑静な街に男が出没し、老若男女へ無差別にビンタを喰らわせるという話。この不条理な事件に、いろんな... 【続きを読む】
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主人公が出くわす イヤな人々 『昨日がなければ明日もない』

どうにも“波長”が合わない、つい苦手意識を覚えてしまう…という人がいる。 できれば関わり合いになりたくないし、関わるとしても最低限の接触で済ませたい。分かり合おうと歩み寄っても、結局は無駄に疲れるだけ... 【続きを読む】
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終幕へ大乱戦 畳まれる大風呂敷 『天冥の標10 青葉よ、豊かなれ』(1~3)

小川一水の大河SFシリーズ完結編。  さまよう人類たちの行く先では、さまざまな星間文明がにぎやかに交戦中。 そんなところへ割り込みつつ、人類同士の抗争もエスカレート。ややこしい事態のまま、終幕へ向けて... 【続きを読む】
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真実追う少女 したたかに成長 『嘘の木』

フランシス・ハーディングによる、ミステリ風味のファンタジー。  舞台は19世紀後半のイギリス。 主人公は利発な少女で、著名な博物学者の父親が捏造事件を起こし、一家で離島に移り住むことに。 ところが、ス... 【続きを読む】
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幽霊たちが養育 英国版の鬼太郎? 『墓場の少年』

ニール・ゲイマンのファンタジー。  何者かに家族を殺害され、たまたま墓地に迷い込んで命拾いした男児が主人公。墓地に棲む幽霊たちに育てられて成長し、やがて、家族の仇と向き合うことに…という物語。  暗く... 【続きを読む】
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絶望的な逃避行 父娘が見出す絆 『拳銃使いの娘』

イジメられっ子としてビクビクしながら生きてた少女の前に、突然、強盗を働いて服役してたはずの父親が現れる。 釈放と同時に、因縁のあったギャングの首領から処刑宣告(家族全員)が下されたため、11歳の娘を守... 【続きを読む】
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緊迫から疾走へ 刺激的なファンタジー 『カッコーの歌』

フランシス・ハーディングのファンタジー。  舞台は第一次大戦後のイギリス。 冒頭、主人公の少女が記憶喪失の状態で目覚める。池でおぼれかけたらしい。記憶は徐々によみがえってくるけど、イマイチ確信が持てな... 【続きを読む】
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改稿の謎めぐるディストピアSF 『カムパネルラ』

『銀河鉄道の夜』をモチーフにした、山田正紀のSF。  舞台は現代日本なんだけど、メディア管理庁という思想統制機関が支配するディストピア。 ここでの「銀河鉄道の夜」は、自己犠牲を賛美してるとも読み取れる... 【続きを読む】
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服は人なり? 奇想あふれる傑作SF 『カエアンの聖衣』

高級ブランドのスーツをさっそうと着こなしてる人は、大企業に勤めてるように見えたり、シゴトができそうに見えたりする。 だけど実は、着てる人なんか無関係で、すべてはスーツの効果かも知れない。その人からスー... 【続きを読む】
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