天竺堂の本棚異なる読み味楽しめる 『N』 道尾秀介のユニークなミステリ。 6章で構成され、各章は独立した物語だけど、舞台や登場人物などにゆるい関連がある。 章の順序を変えて読むと、そのたびに異なる感慨が生じ、つまりは720... 【続きを読む】2022.04.08天竺堂の本棚小説
天竺堂の本棚イルカのような… 『カラスの親指』 詐欺師たちのスリリングなコン・ゲームが展開する本書には、「イルカのような」と描写される人物が登場する。 ツルリとした顔、優しそうでヤンチャそうな目、ツンとした唇にはいつも笑みが浮かんでる…... 【続きを読む】2022.03.07天竺堂の本棚小説
天竺堂の本棚美しくも厳しい…湿地で生きる少女 『ザリガニの鳴くところ』 ザリガニが鳴くのかどうか、私は知らない。 小学生のころ、理科室の水槽で飼ってたアメリカザリガニの世話係をやったことがあるけど、鳴き声は聞けなかった。 本書によると、ザリガニの鳴くと... 【続きを読む】2022.02.19天竺堂の本棚小説
天竺堂の本棚逆縁をも上回る 『あなたの人生の物語』 子供が親よりも先に死んでしまう“逆縁”は、重い親不孝とされる。 立派な偉人に育ってくれそうにはないし、むしろ世間に迷惑をかける愚物で終わるかも知れない。それでも、我が子の死に、親として向き... 【続きを読む】2022.02.09天竺堂の本棚小説
天竺堂の本棚遠野舞台に描き出す 怪異のメカニズム 『遠巷説百物語』 お化けや妖怪などの、不可思議なものたち。 現実に在るとは思えない。けれど、目撃や遭遇などの体験談が少なからず伝えられてるからには、まったくのデタラメ、絵空事というわけでもなさそう。 ... 【続きを読む】2022.01.25天竺堂の本棚小説
天竺堂の本棚犯罪捜査の現場 緊迫感みなぎる短編集 『第三の時効』 やたらと仕事ができて、自分にも他人にも厳しい……そんな人材がいる職場は、成績は上がるだろうけど、一緒に働かなきゃならない身としてはなかなかにツラい。 そこが警察みたいな、仕事自体が“社会正... 【続きを読む】2022.01.22天竺堂の本棚小説
天竺堂の本棚“納得”引き出す奇策こそが妖怪 『前巷説百物語』 罪なき人命が失われる事件が起きた時、しでかした者に対し、「殺してしまえ」「こんな奴は死刑だ」なんて声が上がったりする。 犯人の命を奪えば、遺族らの憎悪や悲哀は一時的に治まるかもしれ... 【続きを読む】2022.01.16天竺堂の本棚小説
天竺堂の本棚道具も舞台も構想も スケール大きなSF短編集 『円』 SF大作『三体』著者による短編集。全13話。 表題作は、不死の秘密を求める始皇帝が、秦の大軍勢でもって“人間コンピューター”を創り出すという物語。 この他、シロナガスクジラを操って... 【続きを読む】2021.12.28天竺堂の本棚小説
天竺堂の本棚高尚で立派なのか? 『失われた岬』 深山幽谷の草庵で、悠然と思索にふけったり。洞窟や僧房の暗がりで、無我の境地を求めたり。有機無農薬栽培の作物を食べ、天然繊維の簡素な服を着て、スピリチュアルな仲間と晴耕雨読の共同生活をおくっ... 【続きを読む】2021.12.10天竺堂の本棚小説