施設長の学び!現場の学び

自由奔放から遠く離れて

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自由奔放から遠く離れて

 ウチの施設では、「さをり織り」を行なっています。
 20年以上も続けている、授産活動の柱のひとつです。

 ハタを使って布を織る、手織り工芸の一種。関西発祥です。
 全国に普及しているので、見聞きしたことのある人も少なくはないでしょう。今では海外にまで拡がっているそうです。

 さをり織りの特徴は、技法や器具ではなく、“オンリーワン”を認める価値観にあると私は思っています。

 折り畳みができる小型のハタで、比較的ビビッドな糸を使い、自由奔放に織り進みます。
 色使いや織り目がグチャグチャになったりするのですが、すべてを個性として尊重し、服などに仕立てます。
 こうして生まれた製品の中には、見とれるほどに味わい深いものも。グランジっぽかったり、ボヘミアンっぽかったり。着こなすことができれば、実に魅力的です。

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第三者に買ってもらえる製品を

 自分や身内が着用するなら、どんな布でも構わないでしょう。自由奔放でも、グチャグチャでも。
 しかし、第三者へ販売するには、それではなかなか受け入れてもらえません。

 ウチの施設では、ある時期から、第三者に買ってもらえる製品作りを目指すようになりました。
 “流行”や“売れ筋”を考えながら、利用者さんたちに指示を出して、色合いや織り上がりをコントロール。縫製のデザインなども意識しています。
 おかげで、製品を愛用して下さる熱心なファンに恵まれ、20年以上も続けることができました。

 同じような物を作っていても、個性を重視するさをり織りは“芸術”で、自由奔放から遠く離れてしまったウチは“商品”なのかも知れません。

 近ごろ、ウチでは「手織り」と称する場合が多くなりました。さをり織りへの敬意と、そして遠慮が込められています。

photo credit: spinknitandlife via photo pincc

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