世界最高峰のエベレスト。
登山者は年々増えているそうですが、過酷な冒険であることに変わりはないでしょう。登頂に成功した人には、ある種の“栄誉”がもたらされます。
エベレストへの登頂、その陰にはシェルパの働きがあると聞きます。
ネパールの少数民族で、ヒマラヤ登山の支援者として世界的に知られる人々です。
障害のある人たちの労働を支援するという、福祉施設職員の仕事。
私は「どこかシェルパに似ている」「シェルパのようにあるべきだろう」などと思うことがあります。すべての福祉専門職に通じているような気もします。
一緒に働きはするけれど、目的は支援
エベレストに挑むのは登山者。登頂の栄誉は登山者のものです。
シェルパたちも登山者と一緒に登りはするけれど、その目的は登山者の支援にあります。
作業所で働くのは利用者さん。労働の成果は利用者さんのものです。
職員も利用者さんと一緒に働きはするけれど、その目的は利用者さんの支援にあります。
ある施設を訪れた時、利用者さんたちを差し置いて、職員さんが授産活動に打ち込んでいる光景を見ました。
納期が迫るなどして、作業を急がなければならない事情があったのかも知れません。
それでも、利用者さんたちが置き去りにされている様子に、私は違和感を覚えました。
登山者を置き去りにして山頂へ向かう…そんなシェルパはいないはずです。
photo credit: twiga269 ? FEMEN via photopincc