「施設を利用している人たちの過去や未来について『これまではどうだったのか?』『これからはどうなるのか?』と考えると、児童や高齢者の福祉事業へも目が向いてしまう。いろんな事業所を立ちあげたくなる」
大きな福祉施設を経営しておられる、ベテランの施設長さんの言葉です。
「いろんな事業所を立ちあげたくなる」という気持ち、私にも分かります。
ウチの施設は基本的に18歳以上の人が対象ですが、だからこそ「若い時期から支援できていれば、もっと早くに生活リズムを確立できたかも知れない」などと思うことがあります。
一方で、加齢で弱ってきた利用者さんに接していて、「慣れ親しんでいるこの施設で、ずっと支援できれば」と思ったりもします。
見方を変えれば傲慢かも
事業拡大は簡単にできることではありません。
資金と土地と人的資源、行政側の福祉計画とのタイミング…それらがそろって初めて実現するのです。
ただ、自分の「できる/できない」だけではなく、地域での「要/不要」についても心に留めておくべき。私はそう思います。
利用者さんの支援を自施設で長期的に続けたいという気持ちは善意でも、見方を変えれば、「自分の手が届く範囲の中で、利用者さんの人生を完結させたい」という傲慢な欲求かも知れません。
自施設での支援が及ばなくても、地域にある他施設で支援できるならば、連携してそちらに任せる方が“健全”でしょう。
必要性が高いのに整備されていない福祉事業、地方にはたくさんあります。
地域福祉をどこまで充実させられるのか…資金と土地と人的資源とタイミングをにらんでいます。
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