主人公は鈍感なんじゃなかろうか?
人生の重大な岐路が迫っていても、相手が繊細な内面を明かしてきても、ありのままに認識することなく、夢や幻みたいな“不思議な出来事”として捉えてしまう。で、後になって「あれは何だったんだろう?」なんて首をかしげたりする。
周りで深刻な事態が進展していても気付かない。あるいは、事態の意味が理解できない。ズレたところでクヨクヨ思い悩んでるばかり。
ひょっとしたら、薄々勘付いてはいるけど、不都合な真実に直面したくないのかも。
そんな本書がつまらないかと言えば、とんでもない。
読み手に対し、いろんなモノゴトを「お前はどうなのか?」と突き付けてくる、そんな凄みが隠れてる。
何故か私は、自分の中にあるダメダメな部分に、否応もなく気付かされてしまった。自分の半生がどうしようもなく凡庸であることを、本書を読むことで、改めて思い知らされたりもした。
イラっとくるやらガッカリするやら恥ずかしいやら…妙に感情を揺さぶられる物語でしたw