ウチのような障害者支援施設は、障害者総合支援法の枠組みの中で運営されています。
とは言え、法制度が実態に合っているのかどうかは疑問です。
私は正直、少なからぬ“ズレ”を覚えます。個人的な印象ではありますが。
むしろ“逆”ではないか…と思えることも。
ウチの施設では、就労継続支援B型事業を行なっています。
利用者さんに労働を提供し、その利益から工賃を分配する事業です。職業訓練としての側面もあります。
訓練ですから、将来のステップアップが想定されています。
就労継続支援B型事業の“上”には、雇用契約を結んで法定賃金が支払われる就労移行支援A型事業があります。2年限定で就業支援に取り組む就労移行支援事業や、さらに“上”には一般就労があります。
特別支援学校を卒業し、B型事業所で訓練を積んで、賃金の高いA型事業所に移り、やがて一般就労を果たす…。
現行の法制度からは、このような“人生モデル”がうかがえます。
ですが私は、いささか違和感を覚えます。
B型事業所で支援を行なっていると、ステップが“逆”に思えてくるのです。
「働きたい」に応える
特別支援学校を卒業し、一般就労して精勤、加齢にともないA型事業所に移り、やがてB型事業所に落ち着く…。
実態に即しているのは、“上昇”するモデルではなく、“下降”するモデルでは…そのような気がします。
社会の意識が変わりつつあるのか、近年は障害者の採用に前向きな企業が増えてきました。
一方、障害のある人たちの多くは、若いうちは心身の能力が高く、加齢にともない低下していきます。
私が勤めるB型事業所には、利用者さんが働きながら訓練を積み、A型事業所や一般就労に移行していく、その支援が求められています。
しかし、実際に求められているのは、一般企業やA型事業所で頑張っていた人たちが、必要とされる労働力を提供できなくなった時、それでも「働きたい」という気持ちに応える“受け皿”としての機能かも知れません。
あくまでも私個人の見解です。
ウチの施設がある地域が、たまたま“下降”するモデルに合っていただけとも考えられますし。個別支援の観点からは、モデルの想定自体、そぐわないことですから。
ウチの施設に何が求められているのか? 求めに対して何ができるのか?
そのような問いかけが、いつも頭の中でグルグルと回っています。
photo credit: cygnus921 STEP UP, step down via photopin (license)