施設長の学び!考え・気付き

弟思いでも優しいわけでもありません

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弟思いでも優しいわけでもありません

 私生活でのことを書きます。
 私にはダウン症の弟がいて、彼は50歳代。養育している両親は、共に80歳代。3人は、私の家の近隣に住んでいます。

 年齢相応に老いている両親は、それでも比較的、健康には恵まれているようです。
 旅行などで泊りがけの遠出をすることがよくあります。「もう遠出は終わりにしたい」などと言うものの、しばらく経つとまた何か用事をつくって出かけていきます。

 両親が出かけている間、私は実家に泊まり、弟の世話をします。
 知的障害に加え、弟は肥満体で、自力歩行が困難です。旅行に連れて行くことはできないし、1人で留守番をさせるわけにもいきません。

 重い障害のある弟ですが、実家での生活は、ある程度の自立ができています。
 食事を与えたり、更衣を見守ったり、成人用オムツの履き替えを手伝ったり、移動時に手を添えたり……私にとって、弟の世話はそう難しいことではありません。

 難しいことではないけれど、何とも言えないやるせなさを覚えます。
 弟は50歳代。私も50歳代。これまで何かと世話をし、世話をされてきた兄弟の関係は、これからも続いていくのだろうか……そのようなことを思いながら、私は弟の世話をしています。

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割り切れない複雑な思いが

 先日、ある人から「弟さん思いなんですね」と言われました。私が実家で弟の世話をしていることを知っての言葉です。
 私が「ひたすらに面倒くさいだけですよ」と応じたところ、その人の耳には、謙遜しているように聞こえた模様。重ねて「いやいや。優しいお兄さんじゃないですか」と言われ、私は返答に窮してしまいました。

 弟の世話をする時の、あのやるせない気持ち。……うまく伝える言葉を、私は知りません。
 決して弟に悪感情を抱いているわけではない。ないけれど、長年にわたって溜まってきたネガティブな思い、簡単に割り切れない複雑な思いが、同時に渦巻いています。

 ウチの施設では、私は施設長、弟は利用者です。良く言えば理性的、悪く言うならビジネスライクな関係でいることができます。 
 しかし、実家で弟に向き合う時、施設長でいることは難しいのです。

 今のところ、地元では障害者向けのショートステイサービスが手薄です。いつかサービスを利用できるようになるまで、私は実家で弟の世話を続けるのかも知れません。
 こんな私を、「弟思い」などと言わないで下さい。

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