慶応大学の院生が“自殺予防因子”の研究をまとめた本。
研究対象となったのは、自殺率が全国でも極めて低いという、徳島県の海沿いにある海部町(現・海陽町)。4年かけて調査や解析を行なったそうな。
結果、自殺が少ない要因として、海部町の住民たちに見られた気質的な特徴「個々人の多様性を認める」「他者の評価は人物本位」「自己効力感が高い」「周囲へ助けを求めることに抵抗が無い」「ゆるくて淡白な人間関係」などを挙げる。
おおらかで、互いを“値踏み”したりせず、押し付けがましくない自然な助け合いができる…そんな人たちが暮らしてるんだろうな。
ちなみに、急峻な山間部に暮らす人びとには、他者に助けを求めたがらない、忍耐強い気質が育ちやすいらしい。そのせいか比較的、自殺率が高い模様。
住民気質や地域性は、簡単には変えられない。
みんなで一斉に性格を改善させたり、引っ越したりするなんて無理。
そこで著者は、住民たちが「『どうせ自分なんて』と言わない」みたいなルールを自己に課し、自己効力感を育てていくことなどを提案する。
行動を変えることで内面を変えよう…という作戦でしょうか。