司馬遼太郎による空海の伝記。
ノンフィクションとエッセイと小説が合わさったような本。
1000年以上も前の人物なので、足跡や業績については史実と捏造と錯誤が混在してる模様。
そこで著者は、遠方を望む「風景」として、あえて想像や創作を盛り込んでる。
歴史的に不明瞭なところは、「やっぱ空海ならこうでなくちゃ」と言わんばかりの、みんなに納得されやすい“物語”で補完。行動派のマルチな天才という“空海らしさ”を指向した演出が利き、読み物として面白い。
当時の仏教界では、空海には最澄というライバルがいて、両者の関係性、その語られぶりには、どこか星飛雄馬&花形満とか北島マヤ&姫川亜弓みたいなテイストが。
そんな日本人好みの要素が集積し、長期にわたって親しまれる“人気キャラクター”が育ったのかも。
このキャラなら、今後1000年も大丈夫そうw