筒井康隆のミステリ。
ロートレック作品の蒐集家の別荘で起きた連続殺人事件を描く。
ロートレックと同様、主人公は身体障害による低身長の男性として設定されてる。
この主人公の存在が、物語に奇妙な違和感を漂わせていて、そこから事件の異様な真相が浮き彫りになる。
障害のある人たちに対し、世間はしばしば身勝手な毀誉褒貶をもたらす。「障害者だから○○」と非難したり、「障害者にしては○○」と賞賛したり。
そんな、良くも悪くも“上から目線”な態度を、当の健常者は認識できてなかったりする。
ページをめくってきた私たち読者は、本書を読み終えるころ、無自覚に抱いてた偏見や蔑視の感情に気付かされることになる。
実に巧妙で意地悪。
問題作『俗物図鑑』などを書いてきた著者ならではの、苦い苦い毒が利いてます♪