アフリカ東端にあるソマリアや、そこから非公式に独立したソマリランドなどの探訪記。
激しい内戦が続く“リアル北斗の拳”なソマリアにあって、ソマリランドでは人々が武器を捨てて民主主義政権を樹立したらしい。
どうしてそんなことができたのかを知るべく、著者が体当たりで取材した労作。
アフリカの内戦は、言語や伝統文化ごとにまとまった“部族”同士の抗争と思われてるけど、実際は血縁や契約によって結ばれた“氏族”の集団が戦ってるらしい。本書では戦国武将に例えてる(かなり強引)。
植民地時代のソマリアは、イギリスとイタリアが支配してた。
間接統治されてた英領部分のソマリランドには氏族の権威が残ってたため、長老たちの和平会議によって停戦が実現したそうな。
一方、直接統治だった伊領部分では、氏族の伝統が壊れていて停戦へのスキームが見出だせず、そこにイスラム原理主義の勢力が台頭、国連も米軍も撤退するほどの危険地帯になってしまったと。
それでも、日常生活を営む庶民がいる。空路は通じてるし、携帯電話は使えるし、日本の輸入中古車が行き交ってる。
マスコミが報道する“物語”とは大きく異なる模様。
自分の目で見ることの大切さが分かります。
とは言え、ソマリランドを自然体で見に行った、著者の好奇心や行動力、胆力には感心するばかり♪