宮田珠己の紀行(?)エッセイ集、第2弾。
訪れてるのは、長崎の軍艦島とか、南西諸島の奄美大島とか、山形の出羽三山などなど。
どれも観光地としてメジャーだけど、著者独自の視点や価値観のおかげで、何ともユルくてヌルい旅行記に。
観光客の多くが見向きもしないような箇所に注目したり、プライベートな思い出に長々と脱線したり、自分勝手な妄想をふくらませたり…読者の観光に使えそうな“実用性”は皆無。
しかし、このユルさやヌルさが、本書の大きな魅力でもある。少なくとも私には好ましい。
観光地を訪れる人たちみんなが、同じところに注目したり感心したりするなんて、考えてみれば気持ち悪い。
受け止め方って十人十色のはず。なのに、巷にあふれるガイド本や旅行番組が「ここを見なきゃダメ」「これを食べるのが正解」なんて決めつけてるせいで、観光の醍醐味が画一化されてる気がするぞ。
周りは気にせずに楽しもうじゃないですか。
あと、著者は異郷を訪れる際「別世界への通路」「異界への回路」みたいなものを期待し、こだわってるところがあって、ここは個人的に共感。
「この向こうは怪しい異世界へ通じてるのかも…?」というワクワク感は、私も大好き。
本書で唯一、ユルくもヌルくもなく、著者が熱く語ってます♪