以前に書いた「労働の価値を高める支援」。
ありがたいことに、ささやかな当サイトでも比較的多くの方が読んで下さったようです。
閲覧にともない、ご意見などもいくつか。
その中に「具体的にどのようなことなのか?」との質問があったので、私なりにお答えします。
例えば、何らかのハガキに何らかのシールを貼る作業。ダイレクトメールを作る内職などがそうですね。
施設Aでは、利用者さんがハガキにシールをゆっくりと貼っている隣で、職員が手早くパッパとシールを貼っています。
施設Bでは、適切な位置にシールを貼れるよう、ハガキにかぶせる枠のような器具を職員が考案。これを利用者さんに使ってもらったところ、作業がスムーズに進むようになりました。
職員が作業を奪う形にはできない
施設Aの場合、作業自体の効率は上がるでしょうが、職員の働きは、利用者さんの「労働の価値を高めている」とは言えません。
施設Bの場合、利用者さんがより多くの作業を処理できるようになりました。こちらは「労働の価値を高めている」と言えるでしょう。
支援の在り方として、上記が正しいことなのかどうか、実のところ断言はできません。
なぜならば、利用者さんのための器具を考案した施設Bより、職員が直接作業に従事した施設Aの方が、収益は大きいかも知れないからです。施設Bの工賃額より、施設Aの工賃額の方が、多いかも知れないからです。
しかし、福祉作業所が“障害のある人たちが生産活動に従事する場”である以上、職員が利用者さんの作業を奪うような形にはできません。
生産活動の大部分を職員が担えば、職員側に「作業をしているのは自分たち」「なのに利益が給与に反映されない」などの不満がくすぶることもあります。
どこの福祉作業所でも最低限、「主役は利用者」との認識が、ある種の理念として共有されています。
その上で、理念と実践の間を埋めるための工夫・努力が必要とされるはずです。
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