障害者就労に関する研修で、興味深い講話を聴きました。
お話しされたのは、複数の障害者施設を持っている法人の理事長さん。
弟さんに知的障害があることがきっかけで、福祉の業界に飛び込んだそうです。
現在、理事長さんらが運営する施設のひとつに、弟さんはかよっています。
その施設の平均工賃額は、全国平均を上回っているとのこと。
しかし、弟さんは障害が重いことなどから、「毎月の工賃は数百円程度です」と理事長さん。さらには「弟には障害基礎年金に加え、亡くなった親の遺産が分与されています。日々の生活に、費用面で困ることはないでしょう」。
“頼られる”ことを学び、身に付ける
それでも理事長さんは「弟には働いて工賃を稼いでほしい」と考えているそうです。
「弟は周りの人たちのサポートを受けながら暮らしています。誰かに頼らないと生きていけません。だから、“頼る”ことを学び、身に付けなければならない」
続けて理事長さんは「そのためには、逆に“頼られる”ことを学び、身に付けることが大切なのではないか? そう考えて私は、できるだけ弟に働いてもらうようにしているのです」。
働いて成果を重ねていけば、やがて自分へ期待や信頼が寄せるようになります。
その経験が、誰かに期待や信頼を寄せることにつながるのかも知れませんね。
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