ひさしぶりに、社会福祉士の研修会に参加しました。
研修会のタイトルは「あなたにとって身近なスーパービジョン」。改めて職業倫理に向き合い、日々の頑張りを認め合いながら、支援者としての成長を促す……そのような内容でした。
会場に集まった人たちは、高齢や障害、医療などの各分野で働いている、福祉専門職の現役ばかり。
みなさん意欲も協調性も高い。グループに分かれてさまざまな演習を行なったのですが、雰囲気は終始和やかでした。
演習では「リフレーミング」にも取り組みました。これは「物事の枠組みを変え、違う視点から見ること」を指す心理学用語で、福祉的支援の技法でもあります。
福祉関係の研修では、しばしばリフレーミングの演習が行なわれます。拙サイトでも過去に取り上げていますし、これまで何度も経験している私は、正直「またか」という気持ちでした。
演習は2人1組で実施。そして一方が「私の欠点は◯◯です」と言います。これを受けて、もう片方は「いいんですよ」と応じ、「◯◯は△△だから良いことです」と返す。これが一連の流れです。
私の場合、相手が「私の欠点は、迷うことが多くて決断が遅いところです」と言ってきました。そこで私は「いいんですよ。迷って決断が遅くなるのは、それだけあなたがものごとを真剣に丁寧に考えているから、良いことなのです」と返答しました。
うなずくしかない 予想外の返し
次は私の番。ここで私は、マンネリ感を打破するような展開を期待し、ちょっと意地悪な“隠し玉”を投げてみることに。
「私の欠点はハゲていることです」と言いました。私は坊主頭です。頭髪が薄いため、いつもバリカンで丸刈りにしているのです。
相手は、私よりやや若いと見られる、女性のワーカーでした。
一瞬「うっ」と言葉に詰まった様子でしたが、やがてニッコリと笑い、こう言ったのです。
「いいんですよ。ハゲていても、それは“あなたらしさ”ですから、良いことだと思います」
思わず「なるほど」とうなずいていた私。予想外の返し、その見事さに感服しました。
どのような欠点であっても、それは“私の欠点”であり、つまりは“私の一部”。ですから、“あなたらしさ”と言われれば、うなずくしかありません。
「あなたらしさ」という言葉で、相手から喜びや納得を引き出せるかどうかは分かりません。
ですが、「欠点ではないことにしたい」「良い方向へ改善させたい」という意思や、懸命さみたいなものは、相手に伝わるようです。少なくとも私には感じられました。
思いがけず、福祉専門職の機知に触れることができ、私にとって刺激ある研修に。
そして、「『またか』で片付けられそうなことにも、未知の学びが眠っている」と気付かされる機会にもなりました。