心理療法について取材した、最相葉月のノンフィクション。
風景構成法を考案した精神科医・中井久夫や、箱庭療法を国内に拡めた心理学者・河合隼雄など、練達のセラピスト(治療者)たちによるカウンセリングが紹介されていて興味深い。
クライエント(相談者・患者)らに寄り添いつつ、デリケートな心の深奥に迫っていく様子は、実に刺激的。
だけど、風景構成法や箱庭療法みたいな、クライエント一人ひとりに時間をかけて向き合う手法は、今の時代には“贅沢”らしい。
精神疾患を訴える人々が増え続けてる昨今では、症状を短時間で見極めるための指標や、科学的・医学的な根拠に基づいた療法、個人の資質に依存しないチームアプローチなどが必要とされるそうな。
治療には合理性が求められ、さらに効率も要請されてる模様。
精神分析みたいな“文学”の入る余地も消えかけてるようで、何だか味気なく思えてしまったりw