毎年3月には、社会福祉士の国家試験の合格発表があります。
そのため、かつてウチの施設で実習を行なっていた学生たちが、「合格しました!」と報告に来てくれることがあります。
1カ月程度の実習であっても、その時は教師と生徒のような関係性だったので、やはり合格の知らせは嬉しいものです。
職員や利用者さんと一緒に、喜び合ったりします。
ウチで実習した学生が合格を果たした…というのは、身内的な喜びですが。
それとは異なる次元で、ある種のメリットも期待されます。地域福祉や施設運営における、将来的なメリットです。
実習生たちは、ウチの施設にはどのような利用者がいて、どのような職員が働き、どのような活動に取り組んでいるのかを知ります。施設内の雰囲気や、地域との関係性、職場としての環境、利用者さんへの対応などを、実習を通して肌身で感じ、間近で見ることになります。
そのような人材が、社会福祉士となり、地域の福祉業界へ出ていくのです。
将来の緊密な連携に期待
児童や高齢者など他分野と連携したり、他地域と連携しなければならない時などに。
相手側にウチについてよく理解している専門職がいれば、緊密な連携が期待できます。これは大きなメリットです。
実際、ウチの利用者Aさんが老健施設に移ることになった時、実習生だった人材がワーカーとして先方に勤務しており、おかげで移行が円滑に進んだことがありました。
また、同様の人材が相談支援事業所に入職し、今ではウチの利用者Bさんの計画相談を担当してくれているという例もあります。
もちろん、ウチの施設について実習生に知ってもらうからには、知られて困ることがあってはなりません。私たち施設側が、みずからを常に律しておくべきでしょう。
実習生の受け入れには、良い意味で組織に緊張感をもたらす効果もあるようです。
社会福祉士は“狭き門”とも言われますし、実習生みんなが福祉業界へ進むわけではありませんが。
個人的には、地域の福祉業界に“仲間”が増えてくれることを、楽しみに、そして頼もしく思っています。