夢枕獏による、中里介山『大菩薩峠』のリブート作。
主人公は、新選組副長の土方歳三。京都に出立する以前、薬の行商人をしていたころ。
自分の若さを持て余してる歳三が、「音無しの構え」を使う魔剣士・机龍之介と出会い、戦いを通して成長していく物語。
龍之介が虚無的な性格に育ち、恐るべき剣技を会得した背景に、著者が新たな設定を付与。それなりに説得力があって興味深い。
真剣での立ち会いシーンは、読み手の痛覚に訴えてくるような、著者独特の生々しい迫力にあふれていて読ませます。
刃物で斬られるって、本当に痛そう(当たり前か)。
時代小説も数多い著者だけど、これが「格闘だけでなく、チャンバラもイケる」と初めて示せた作品になるんじゃなかろうか?
そのせいか、描かれてる歳三が、『餓狼伝』の主人公・丹波文七と、妙にダブって見えるようなw