授産事業を行なっている福祉施設を対象にした、工賃アップのための研修会に参加しました。
工賃のアップには、利益のアップが必要です。原価を抑えて売り上げを増やすべく、会計士や商業デザイナーなど専門家による講義が行なわれました。
有意義な研修だったのですが、マーケティングについて講義した中小企業診断士の言葉が、特に心に残りました。
講義後の雑談で、その人は「福祉施設の顧客って、授産製品を買う人じゃなく、実は施設を利用する人たちではないかとも思います。そうなると、マーケティング戦略を改めなきゃなりませんが」と言ったのです。
私も同じようなことを考えていたので、心の中でうなずいたものでした。
ウチのような福祉施設は行政からの給付金で運営されており、それは利用者さんたちへの支援に対して支払われます。福祉施設の収入は、利用者さんの人数と利用日数に連動しています。
授産製品を買って下さる方がたも大切な顧客ではありますが、厳密には「利用者さんたちによる授産事業の顧客」でしょうか。
避けてはならない課題が
そうではあっても、やはり工賃をおろそかにはできません。
工賃アップの目的は“障害者の自立”にあります。これは福祉施設として避けられないし、避けてはならない課題なのです。
しかし、利用者さんを顧客として捉えると、工賃アップの他にも、避けてはならない課題が浮かんできます。
顧客である利用者さんたちのニーズは何か? ウチの施設を利用している理由は何か? これから利用するであろう人びとが求めるものは何か?
工賃額? 就労実績? 交通の便? 建物の雰囲気? 室内の設備? 対外的なイメージ? 支援の質? 作業内容? 競合施設が近隣に無いから? それとも…?
考えていくと、本当にマーケティング戦略を改めねばならなくなりそうです。
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