福祉作業所での、刺激的な支援事例を知りました。
聴いたのは、ある福祉支援者向けのセミナーで。アート系の製品で知られる、就労継続支援B型作業所の職員さんの話でした。
その作業所は、障害が比較的重い人たちが利用している模様。
主な作業は、絵画や陶芸、木工などの創作。セレクトショップなどで作品を売り、工賃を稼いでいるそうです。
華やかな作品展を開催したり、ミュージシャンとのコラボレーションを展開したり…そんな活動が目立っている作業所なのですが。
講演で紹介された事例は、個々の利用者に向き合い、寄り添っているものでした。
熱意とアイデアあふれる支援で
創作活動への参加が難しく、せいぜい紙をクシャクシャに丸めることはできるという人がいるそうです。
支援者はその行為に着目し、丸めた紙に粘土を被せ、土鈴を焼くことを発案。できた土鈴は商品として販売されるようになり、買い手に参加してもらう土鈴作りのワークショップも実施されています。
新聞紙を破ることが好きな人もいます。
それを型紙に使い、木工セクションでブローチが作られました。さらには、さまざまな紙片が並んだシルエットとして、手ぬぐいの柄にも流用へ。
水漏れする茶碗ばかり作ってしまう人の場合は。
茶碗に土が入り、観葉植物が植えられました。かわいい鉢植えとして販売されているそうです。
これらの製品は、次々に生産・消費される性質のものではありません。高い工賃は望めないでしょう。
しかし、労働が成立しにくい人たちが、売れる商品を作っている、そのことが素晴らしい。どのような人であっても価値を生み出せるという理想が、熱意とアイデアあふれる支援によって実現しているのです。
1万円の工賃を5万円に増やす支援も大切でしょうが、発生しなかったかも知れない工賃を1000円生み出す支援も重要ですよね。