前回の続きです。
「貧困・格差」と「地域・社会」の2分野15冊をご紹介します。
【貧困・格差】
27.『助けてと言えない』
NHKのドキュメンタリー番組をまとめ直した一冊。周囲へ助けを求められないままに社会から転落していく、若年労働者たちの危機的状況に迫っています。
28.『ブラック企業と奨学金問題』
多重債務者支援団体が開いたシンポジウムでの、専門家たちの発言集。若者たちが借金苦や過労死へと追い込まれていく、深刻な現状を伝えています。
29.『大人のひきこもり』
100万人とも推定される40歳以上のひきこもり、その驚くべき実態を紹介。併せて、長期化・潜在化の背景や、解消への方策などを探っています。
30.『どんとこい、貧困!』
貧困問題を解説した、中高生向けの本。貧困は「自己責任」ではなく、みんなで取り組むべき「社会の問題」であることを、強く訴えています。
31.『下流の宴』
ドラマ化もされて話題になった、林真理子の小説。高学歴・高収入への価値観に固執し、“中流”からの転落を恐れる主婦の姿を、コミカルかつシニカルに描いています。
32.『ホームレス・スーパースター列伝』
ホームレス114人に取材したという、ユニークなルポルタージュです。社会の片隅でたくましく生きるホームレスたちの素顔を“スーパースター”として紹介。
33.『火車』
宮部みゆきの社会派ミステリです。ある女性の失踪に絡んで、カード破産や借金地獄、戸籍問題など、身近にひそむ恐ろしいワナが浮き彫りに。
【地域・社会】
34.『生き心地の良い町』
国内でも極めて自殺率が低い、徳島県海部町を研究した本。4年にわたる現地調査やデータ解析から、自殺を予防する5つの因子が導き出されています。
35.『コミュニティ・カフェをつくろう!』
地域住民らの交流拠点「コミュニティ・カフェ」の普及を呼びかけている本。資金調達や物件探し、運営方法などのノウハウが、実例を基に書かれています。
36.『奇跡の医療・福祉の町ベーテル』
世界的に知られる、ドイツの先進事例を紹介。医療機関や福祉施設が町に溶け込んでおり、障害者も高齢者も伸び伸びと暮らしているそうです。
37.『地元学をはじめよう』
熊本県水俣市の元職員が、地域活性化の手法を平易に説いています。水俣病問題で疲弊していた地域を改善させた、持続的な成果に基づいた内容。
38.『コミュニティデザイン』
著者は、都市計画や地域再生、街づくりの第一人者。地域の課題を見抜き、住民の力を結集させ、より良い社会を目指す…そんな仕事の醍醐味が伝わってきます。
39.『世代間交流施設の挑戦』
高齢者や児童、障害者らの交流を積極的に進めている、全国8施設の事例集。介護や保育へのポジティブな効果が生じています。
40.『独立国家のつくりかた』
ユニークでラディカルな社会改革の提言。国民の生存権をないがしろにする政府を批判し、個々人が社会の捉え方を変えることによる“独立”を呼びかけています。
41.『ソーシャル・ビジネス革命』
貧困救済によってノーベル平和賞を受けた、ムハマド・ユヌスの著書。社会問題をビジネスの手法で解決する「ソーシャル・ビジネス」の可能性を説いています。
photo credit: Cesar’s iPhoneography Looking Out to Look In via photopin(license)