前回の続き。これが最後です。
「思想」と「その他」の2分野9冊をご紹介します。
【思想】
42.『あなたへの社会構成主義』
常識や真理と信じられている物事は、人間同士の関わりの中から生じる…とする社会構成主義。現代の福祉へ大きな影響を及ぼしている考え方の入門書です。
43.『それでも人生にイエスと言う』
ナチスの強制収容所を生き延びた心理学者、V・E・フランクルの講演録。絶望的な状況にあっても見出し得た“生きる意味”について、力強く語っています。
44.『「弱者」とはだれか』
障害者を賛美したがるマスコミ、無理解を糾弾したがる当事者団体…。マイノリティ(少数者)について語られる際に生じる欺瞞性(ウソくささ)を、鋭く論じています。
45.『福祉と贈与』
社会運動を展開する障害者の介護に8年間従事した著者の、観察と取材による労作。「福祉を贈与として立ち上げることは可能か」を模索しています。
46.『当事者主権』
弱者であろうと、必要な物事は当人自身が決めるべき…という主張。身体障害者の中西正司と、社会学者の上野千鶴子が、新たな視座を提示しています。
47.『スティグマの社会学』
社会における不名誉な属性(スティグマ)についての本。肉体的欠陥や出自、入院歴、逮捕歴など、各種の事例と、それらが生じる仕組みを分析しています。
【その他】
48.『支援者が成長するための50の原則』
福祉や医療、教育など、各分野で支援に取り組む人々向けのワークブック。「誠実さ」「危機介入」「自分を整える力」など50のトピックで、考えを深めていく内容です。
49.『紅一点論』
ヒーロー戦隊も刑事ドラマも、男性集団に女性が1人という構図なのは何故? メディアに登場するヒロイン像を切り口にした、ユニークなフェミニズム評論です。
50.『自殺をケアするということ』
自殺予防や自死遺族ケアについて、福祉や心理学などの専門家が考察。自殺を招く「弱さ」に着目し、それを受け入れること、寄り添うことなどを述べています。
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