福祉事業にお金が絡むと、あまり良いことにはならないような気がします。
『それをお金で買いますか』を読んだ後では、なおさらに。
とは言え、福祉事業のみならず、この社会で何らかの事業を動かしていくためには、お金が不可欠です。
私自身、障害者施設で働いて収入を得ていますし。
ウチの施設では、飲食店経営や手芸品販売などで現金収入を得ています。
製造・販売の支援に携わるうちに私は、金銭の授受によって、ある種の“交流”が生まれているのでは…と思うようになりました。
「あなたを認めています」との意思表明
福祉施設の製品を買う人は、お金を払うことで「製品の価値を認めます」との意思を表明しています。実際に思っていなかったとしても、購入という行為自体に、すでに意思が含まれています。
普通、価値を認めないものにお金を払う人はいませんから。
製品の価値を認めるということは、「製品作りに関わった利用者さんの働きを認める」ことでもあります。
ですから、障害者福祉に知識や関心のない人であっても、製品にお金を払えば、利用者さんに「あなたを認めています」との意思表明を間接的に行なっているのです。
「見ず知らずの他人に財布を開かせるって、凄いことだなぁ」と思います。
そして、「もっと財布を開いてもらわねば」とも思います。
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