おいしいうどん屋さんが地元にありまして。店主による手打ちうどんが評判で、昼時にはいつも行列ができている人気店です。
その店が、2週間ほど閉店しました。店主の病気が原因でした。
営業が再開された時、うどん屋のファンである私たちは、ホッと安堵したものです。
店主は「またオープンできて良かった。健康は大切ですね」と苦笑い。
人気店であっても当然、閉めている間は無収入です。また、接客や配膳のために雇っていた店員たちは自宅待機となり、中には営業再開を待てずに仕事を移った人もいたと聞きました。
人間関係はわずらわしいけれど
うどん屋の一件で、仕事と組織について考えさせられました。
ウチの施設では、施設長である私が病気で休むことになっても、業務は継続されます。無収入になることも、職員たちの仕事がなくなることもありません。
業務の主軸である障害者支援は、管理者である施設長ではなく、支援現場の職員たちによって行なわれています。
加えて、業務のほとんどを職員間で分担できるように設定しているので、施設長以下どの職員が欠けた場合でも、施設全体が止まってしまうようなことはないのです。
組織運営には、個人の弱さを集団によって補える、大きなメリットがあります。
半面、組織運営には、人間関係のわずらわしさが必ずつきまとう。性格も思惑も能力も異なる人びとが協力するのですから、そこに葛藤が生じるのは当然でしょう。
個人で完結させられる仕事の気楽さが、心底うらやましい時もあるのですが。
自分が仕事に出られない時でも、職場を支えてくれる存在がいることの頼もしさを思えば……やはり、組織運営がもたらす安定感には代えられません。