諫早湾干拓事業から沖縄米軍基地、小さな親切運動、障害者バスケットボールまで、さまざまな物事を扱ってるルポルタージュ集。
マスコミが事件や問題を取り上げる場合、限られた放送時間や紙面の枠に収まるよう、情報が取捨選択される。
その際、「賛成/反対」「加害者/被害者」みたいな対立軸や、「町の声」「世間の人びと」など不特定者の視点を持ち出し、対象を単純化してしまうことも少なくない。
報道の枠外には、善悪さえ定かでない、大きなグレーゾーンが拡がってる。
著者はそこへ切り込み、一般的な認識とは異なる側面や、“解決”にほど遠い実態などをあぶり出す。
不可解さや意外さに直面し、しばしば著者は戸惑ったりうろたえたりする。一方で、そうなることを見越した上で、あえて取材してるようにも思える。
軽く読めるけど、なかなかに深い内容でした…。