ペットを溺愛する人びとが増えてる現状を、香山リカが考察した本。
ちなみに著者自身、イヌもネコも飼っており、ペットロスの経験もあるそうな。
社会の“ペット観”は変化してる模様。
従来の飼い主は、人間へ向けられる愛情の“余剰分”をイヌネコに回してた。昨今の飼い主は、人間よりもイヌネコを優先したがる。
そんな飼い主には“心のスキマを動物で埋める”という傾向が見られる。
精神的に余裕がなく、脆弱になってる人こそ、ペットに深く依存してしまうらしい。
人間と違ってペットは、言語コミュニケーションが要らない相手だし、一方的な愛玩を拒否しない存在だから。
少子化との関連も指摘されてる。けれど、ペットの溺愛が“原因”なのか“結果”なのかは不明とのこと。
エッセイ風の軽い読み物だけど、なかなかに鋭いぞ。
それに、巨大化してるペット産業とか、動物愛護が批判されにくい状況などを考えると、「よくぞ書いたな」とも思えます。