ノンフィクション天竺堂の本棚

三十代・四十代の自死 孤立させられる社会 『助けてと言えない』

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『助けてと言えない』

 「自分の力だけではもう生きていけません。どうか私を助けて下さい」と他人へ頭を下げるためには、“自立できない自分”とか“誰かに依存する自分”を認めなきゃならない。

 簡単にできそうだけど、実行するとなると難しい。これまでの努力を否定することだし、ミジメな実情を明らかにすることだし、周囲に多大な迷惑をかけることだから。
 社会でバリバリ活躍してるはずの三十代・四十代の人々が、活躍してるはずの年代だからこそ、助けを求めずに自死を選んでしまう…その心情は理解できる。

 いやいや、「理解できる」なんてもんじゃなく、実は私自身、かつて死にたくなるほどツラい状況に追い詰められた経験がある。本書に登場する人たちと、私は同類。他人事ではない。
 たまたま私は、その時に“ダメな自分”を受け容れ、かろうじて「助けて下さい」と言えた。だから今も生きていて、こんな文章を書いてられる。

 人間は助け合わないと生きていけない存在だし、「生きてること自体に価値がある」という考え方もある。
 「助けて」と言えない/言わせない、この社会はどこかが間違ってる。 “オトナの自立”とか“シアワセな人生”について、新たな価値観や、従来と異なる捉え方が求められてるのです。

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