兵站を前面に打ち出してる、異色のミリタリーSF。
遠未来の植民星系を舞台にした、未知なる存在の侵略行為に対抗する、軍事組織や統治機構での群像劇。
戦争での補給や備蓄管理などの後方支援が兵站で、作中では「兵站が機能しているなら、英雄は生まれない」「兵站の失敗が英雄を生む」なんて言葉が出たりする。
実際「腹が減っては戦はできぬ」「ローマ軍はつるはしで勝つ」「プロは兵站を語り、素人は戦略を語る」とか言われるし、兵站はとても重要らしいぞ、地味だけど。
谷甲州『航空宇宙軍史』シリーズにも通じる、堅実にして硬派なテイスト。
前線部隊と後方首脳の間に、危機意識のズレが拡がってたり。上層部が人事に介入したせいで、現場に余計な混乱が生じたり。ボトムアップを重視する調整型の指揮官が、リーダーシップをおろそかにしたり。
どこか企業ドラマっぽかったりして、なかなかに興味深いです。
一方、侵攻してきた敵は、正体不明の不気味な存在。コミュニケーションが成り立たず、何を狙っているのかもよく分からないままに、スリリングな戦いが続く。
続編があるそうなので、早くも読みたい♪