ウチの施設では、障害のある利用者さんたちが、工賃を稼ぐために働いています。働くための訓練を積んでいる人もいます。
利用者さんにとって、ここは「職場」であり、「職業訓練所」と言えるでしょう。
そんな施設に、自治体や団体などから、各種レクリエーションのご案内が舞い込みます。音楽やダンスなどのアマチュアグループから、施設内でのボランティア公演の申し出をいただくこともあります。
小さな施設を地域の方がたが気にかけて下さり、施設長としてありがたく思います。
ですが、感謝しながらも、お断りしてばかり。お誘いを受けることは、年間で数えるほどしかありません。
授産事業が止まってしまう
みんなでレクリエーションに参加するためには、施設を閉めて会場に出向かなければなりません。公演を鑑賞するためには、持ち場を離れて一箇所に集まらなければなりません。
授産事業の操業が止まってしまうのです。
休日のお誘いも、やはりお断りしています。
利用者さんたちだけでの参加は難しい場合が少なくないため、職員の休日出勤による付きそいが前提となり、平日の操業に支障が出るからです。
「職場」「職業訓練所」としては、利用者さんが稼いだり訓練したりするための作業を止めたり、職員に負担を強いるようなことには、なかなか応じられません。
施設を“利用者さんたちが集まる場”として見れば、みんなで楽しめるレクリエーション参加や公演鑑賞などの機会は、できるだけ増やしたいところです。
ウチの施設が小規模通所授産施設だったころは、さまざまなレクリエーションに出向いたり、ボランティア公演を喜んでお受けし、地域の方がたとの交流を深めていました。
善意の“お誘い”をいただくたびに、私はジレンマを感じます。
と同時に、就労支援施設の機能や、福祉サービスの在り方、障害者福祉への住民意識などについて、考え込んでしまいます。
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