『銀河鉄道の夜』をモチーフにした、山田正紀のSF。
舞台は現代日本なんだけど、メディア管理庁という思想統制機関が支配するディストピア。
ここでの「銀河鉄道の夜」は、自己犠牲を賛美してるとも読み取れる第3次稿が定本。
主人公の少年は、宮沢賢治の研究者だった母親の遺骨を散骨しようと岩手県を訪れたところ、いつの間にか物語世界に迷い込んでジョバンニとなり、カムパネルラ殺しの容疑者にされてしまう。
こんなミステリーっぽい展開が、存在しないことになってる第4次稿をめぐる謎へと続いていく。
ちと強引にも思えるけど、なかなかに刺激的な物語でした。