マルチな才人だった伊丹十三の、若き日のエッセイ集。
俳優として洋画『北京の55日』に出演した時の、ヨーロッパでの滞在生活を記してる。
内容にも文章にも、独特のクセがある。
ウンチクとキザとコダワリと自慢と武勇伝と卑屈と同族嫌悪が、ないまぜになってる感じ。
そのあたりが鼻についたり、嫌味なものを感じてしまう人もいるかも知れない。
書かれたのは昭和30年代の後半。
当時はジャルパックも『地球の歩き方』も無い。海外渡航は安易にも気軽にもできなかったはず。
ブイブイ言わせてる裏で、緊張したり肩肘張ったりしてたであろう著者。
日本人として西欧人や西欧文化に向き合うことへの、“気負い”とか“晴れがましさ”とか“恍惚と不安”みたいなものがうかがえる。
今読んでも面白い。と言うか、今読むから面白いのかも♪