神林長平のユーモア(?)SF。
生活家電にまで人工知能(AI)が普及してる近未来が舞台(長野県内)。
引きこもりの中年男が、真実を照らすという古代の燭台と出合い、“この世の実相”に迫る。
AIに囲まれた日常風景が面白い。
知能のある家電製品たちの間で葛藤が生じ、陰でケンカしたりしてる。“自殺”してしまうヤツもいる。
中編3話の連作。
2話まではトボけた事件を素直に楽しめるんだけど、3話目は形而上的なモノゴトが入り込んできて難解に。
私たちは五感と頭脳でもってこの世を認識してる。
しかし当然、認識が及ばないところにだって世界は拡がってる。
なので、私たちが「こうである」と信じてる世界とは違う世界もあり得るはず。猫が認識する世界は異なるだろうし、アンドロイドが認識する世界も異なるだろう。
“現実”って結構あやふやらしい。
物語では、誰かの想像でしかない人物とか、ペットに仕えるヒト型ロボットとか、そんな奇妙な連中が社会に紛れ込んでる。
私たちの周りにも、意外な何かが紛れ込んでたりして…。